【vol.62】ヘアカラーは悪いこと?(りょうか)

日本には「生まれもった身体に身体加工(タトゥーや整形)を施すのはよくない」といった考えが根付いています。最近では、すごく身近になっているヘアカラーも広い意味でのカジュアルな身体加工の一つです。

みなさんは、髪の毛を染めたことはありますか?
私は、小学校の頃にはじめて髪を染めました。そして、周りの友達も染めている子が多かったので、髪を染めることについてなにも思っていませんでした。
しかし、中学校、高校となるにつれて、「髪を染めることは悪いこと」というルールに出会いました。また、それが、世間一般なのだと気が付きました。しかし、大学生になると、そのルールはなくなりましたが、世の中にその考えが残っていることに違和感を持ちました。

私は、髪の毛の色を変えると全体の雰囲気が変わることが楽しく、大学生になってからブリーチもして、赤、青、黄色、紫、オレンジ、グレーなど様々な髪色にしてきました。原色に近い色や派手な色、色落ちして金髪に戻ったときなどに、周りから「ヤンキー」や「いかつい」「すごい色(白い目)」といわれてきました。

髪の毛を染めるという行為は、おしゃれとして定着してきている部分もあり、そこまで良くないというイメージもなくなってきていますが、金髪や派手な色などの明るい髪色=ヤンキーなどといったような偏見は、いまでも残っています。学校の校則や接客業などの規則にあるヘアカラーに対する印象のみで、“接客サービスが悪い”や“髪の加工=非行”という考えを持つことは、ステレオタイプではないのかと疑問に思いました。

今回は、日本ではなぜ、黒髪がよしとされ、金髪や明るい髪色がよしとされないのかという疑問を、日本と海外の学校教育の違い、日本の文化の特徴という2つの観点から考察していきます。

はじめに実態調査として、黒髪がよしとされている考えが顕著にあらわれているのは、学校現場と接客業であると考えたので、私のバイト先と母校(中学・高校)の先生たちに、以下のような内容のインタビュー調査を実施しました。

Q1 髪色に関するルールや基準にはどのようなものがあるか
Q2 そのルールや基準がある理由
Q3 もともと地毛の明るい人も黒染めをする必要があるのか
Q4 学校、職場以外で髪を染めている人に対する印象
Q5 学校、職場で髪を染めている人に対する印象

その結果、髪を染めることに対して、飲食店は「奇抜だとお客様受けが悪い」、学校は「髪を染めることによって意識が学校以外へ向くのを防ぐため、社会のマナーを身につけるため」といった考えをもっていることが分かりました。しかし、社員や教員という立場ではなく、個人として髪の毛を染めることに対しての考えは、「個性や自由」「地毛が明るかろうと黒染めの義務はない」ということでした。私は実際、中学・高校で地毛が明るいと黒染めさせられていたので、この返答には正直驚きました。

これらの実態調査から、学校現場において、「おしゃれは意識が学校の外に向いてしまうこと」と「ヘアカラーの禁止」にはどういった関係があるのか。社会的に髪の毛は暗めがよしとするマナーがあるのか。接客業は「お客様社会」になっており、「お客様は神様」という考えから、店員の容姿はお客様にどう思われるかが最優先されているのか。「接客態度がいいこと」と「店員の清潔感などのイメージを守ること」は結びついているのか。このような疑問や仮説が生まれました。そして、「学校では」「職場では」というイメージの固定があることも分かりました。

1.日本の文化

日本人の特性として、同一のものを好んだり、異質なものを排除したりするというものがあります。これには、日本の歴史が関係していると考えます。

日本はもともと島国で、異文化とかかわることが少なく、また異文化が日本に入ってきても異文化をそのまま取り入れるのではなく、日本の文化に適合するように取り入れてきました。わかりやすい例でいうと、漢字です。もともと中国から入ってきたものですが、それを日本語として母語にしています。そして、日本の農耕社会にあった村に即せない人は村から追い出されるという「村八分」という文化や、ことわざにも「出る杭は打たれる」や「長い物には巻かれろ」、「言わぬが花」、「雉も鳴かずば撃たれまい」などがあることから、日本の歴史的文化が深く関わっているといえます。

これらの考察から、最近は身近なものになってきているヘアカラーも、日本の同調意識の歴史に比べるとまだまだ浅いので、“黒髪がよい”というイメージが残り、さらにヘアカラーが日本に普及してきたのはヤンキー文化が流行したのと同じくらいの時期だったため、金髪や明るい髪色によくない印象がついてしまっているのではないかと考えました。

2.日本と海外の学校教育の違い

学校教育に必要不可欠なものとして校則があげられます。「ブラック校則」と呼ばれる校則も最近注目されています。ブラック校則とは、眉毛と髪の毛をいじってはいけない、地毛が茶色かったりくせ毛があったりしたら事前に証明手続きをしなければならない、日焼け止めクリームを化粧扱いして禁止する、などといった校則のことです。それに加え、学校の評価や地域の方々からの目を学校側が気にすることが増えたことにより、髪色はもちろん髪型や髪の長さ、靴下の色など見た目に対する校則が増えています。多様性や自主性を広げたり、個性を見つけたり伸ばしたりするはずの学校現場で、画一化することばかりに目を向けられているのが現実です。その結果、周りと同じでなければならないという考えが根付いてしまうのです。

一方、海外の教育は、自分の考えや個性をいかにアピールできるかというところが重視されています。学校は勉強するところという考えのもと、見た目に関する厳しい校則はありませんが、成績が悪いと親の呼び出しなど勉強に関しては厳しい校則が多いようです。

以上が、わたしが2年次におこなってきた、ヘアカラーに対する偏見についての研究結果です。

みなさんは、ヘアカラーに対してどう思いますか?

(5期生 りょうか)

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