私は自分が何になりたいのか、何をしたいのかがずっと分からなかった。それを一番痛感したのは、大学受験が始まりだった。担任の先生と面談をし「何学部に行きたいの?」「どんなことを学びたいの?」という問いにほとんど答えられなかった。というよりは全く思い浮かばず「分かりません」と答えていた。だから私は学部ではなく、自分のレベルにあった大学を中心に受けていた。周りは自分のやりたいことや学びたいことを見つけ、そんな人たちがとても羨ましく、自分と比較し、そんな自分が嫌だった。そもそもなぜ大学に進学したのか。それは大学へ行くことが世の中の当たり前だと思っていたから。みんな行くものだと思っていたから。そう周りに流され、影響されたのである。私みたいな若者はおそらく少なくないだろう。なんとなくみんなが行くから大学へ進学してみる、なんとなく就職に有利だから行ってみる。こんな理由で大学生になってしまった人は私だけではないのだと思う。
そして次に痛感したのが就活だった。就活は大学受験以上に自己分析を求められた。どの就活攻略本にも「まず自己分析をしよう」「自己分析が一番重要」と書かれていた。私は就活の時に初めてちゃんと自分と向き合い、自分は何がやりたいのか、自分はどういう人間なのかをじっくり考えた。しかし全然思い浮かばず、そんな自分がまた嫌になった。そして就活をする以前に、日々、社会に目を向け、自分に向き合い、社会の中で自分がどうあるべきかをもう少し深く考えていたらなと感じた。
私はこのきっかけは社会学が与えてくれるのではないかと思う。私はまだまだ社会学について勉強不足であり、熟知しているわけでもないので、こんな私が言うのもあれだが、私は県大に入り、都市文化コモンズに入り、社会学を学ぶ機会が増えた。私の生活を取り巻くもの何でも研究対象となり、それが社会とどう関係し、また私たちとどう関連しているのかなど、人々の社会生活を深く考えることができると思っている。答えが一つとは限らないため、様々な視点で物事を考えることができる。そして大学という色々な人が集まる場で社会学を学ぶことで、沢山の考え方や視点を吸収することができる。いま思えばこんな貴重な場って、なかなかないなとひしひしと感じている。そしてそんな素敵な時間を私は活かしきれていなかったと後悔した。
たしかに特に目標もなくなんとなく過ごしている人、将来を深く考えず今が楽しければいいと思っている人は、現代の若者の中で増えていると私も感じている。そのような若者は社会学と出会い、そこで自分の視野を広げると、今の自分から少しは成長できるのではないかと思う。そしてどんどん社会に対して批判したり、指摘したりして、自分の考えを常に持つべきだったのではないか感じている。今の若者は保守的な考えを持ちがちで、自分の意見を持たず、なんとなく周りに合わせていかに浮かないようにと考えているのだろう。
私は大学に入る前、社会学を漠然と捉えており特に何も知識はなく、特に興味もなかった。しかし社会学の授業をとり、普段生活している社会のことを少しずつ知っていくのが面白く感じた。そして今までなかった視点を持つこともできた(私はこういう場をちゃんと自分に生かすことができなかったかもしれないが…)。これは自分のやりたいことを持つ上で、とても活きてくると思う。だから、いま自分のやりたいことが漠然としていて分からないという若者はもう少し社会学に触れてみるべきではないだろうか。社会学は人間力を育てる上で重要な材料の一つだと思う。特に私と同じ「何がしたいのか分からない」「何に興味があるのか分からない」という人に薦めたい。この文章を書いていて、私の大学生活4年間は悔いの残るものだったなあと思ったので、後輩たちには、少しでもこの4年間という沢山の事を学び吸収できる貴重な期間の中で、色んな視点を持って過ごしてほしいなと思う今日この頃である。
(1期生 もが)