【vol.59】私流 邦ロックのすすめ(さら)

こんにちは!松岡ゼミ5期生のさらです。突然ですが、あなたにとって欠かせないような音楽はありますか? 

私にとっての欠かせない音楽は、邦楽ロックです。そして好きすぎるがゆえに、ゼミでは「邦楽ロックとファンの関わり」をテーマに研究を進めています。そのため、このブログは、私が愛してやまないバンドを取り上げて、最も思い入れのある曲とともに紹介していくという、もはやただのファンの感想ですね。ですが、ここから紹介する3組と、最後に掲載したロックバンドの楽曲は、私が生きているうえで多大な影響を受けたものばかりです。少なくとも1人の人間の人生動かしてるということなので、ロックなんぞ興味ねえよという方も、騙されたと思っていっぺん聴いてみて下さい。

「チロルとポルノ」/クリープハイプ

クリープハイプはかなりの有名どころなので、「ラブホテル」や「HE IS MINE」などの表題曲をご存じの方も多いと思います。ここでおすすめした「チロルとポルノ」という曲は、クリープがメジャーデビューしたアルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」に収録されています。

私がクリープを知ったのは、このアルバムにある「イノチミジカシコイセヨオトメ」という曲を、他の方がカバーしていたのを耳にしたことがきっかけです。その歌詞がなんとなく気になって、高校1年生の私はTSUTAYAにこのアルバムを借りに行き、ウォークマンでずっとリピート再生していました。そこからクリープにのめり込んでいったわけですが、「チロルとポルノ」は私にとっての原点であり、ずっと一番の曲です。キャッチーな曲調にのせて、切なく哀愁のある詞が歌われているところが、私の心を掴んで離さない所以です。曲中に出てくる「あたし」のやるせない悲しさを、ボーカルの尾崎さんの高音がさらに切なくさせていて、聴く度に私自身何かを思い出して、胸をぎゅっとつかまれたような感覚になります。ラスサビでの、ベースのカオナシさんとのハモリもとっても素敵で、終盤余計に気持ちが高ぶってしまいます。最近のライブでは全然やってくれない曲の一つで、私自身生で一度も聴いたことがありません。いつか生で聴きたいもんですね。

この曲に限らずクリープの楽曲は、メロディーは明るくて可愛らしいのに、歌詞を見るとどきっとするような、何か心の痛いところを突かれたように鋭い詞を歌っていることがあります。そして「痛い」と「居たい」のように、文字を見ないと分からない意味の違いや、言葉選びの独特さなど、日本語を巧みに操っているところが、尾崎さんの作る歌の魅力の一つです。またクリープは下ネタのイメージが強くなりがちですが、彼らはただ下ネタを言っているだけのバンドではありません。下ネタを下品なものとしてでなく、粋な表現でお洒落に魅せているところもまた、半端なくカッコイイんです。

「拝啓」/ teto

tetoに関しては、すすめたい曲が多すぎて、1曲に絞ることが困難極まりないです。そのためライブで聴いたときの記憶が一番鮮明に残っている、「拝啓」という曲を選びました。この曲はtetoの中ではポピュラーソングで、よくライブで演奏される曲の一つです。スピード感のある曲で、イントロから観客もコーラスをして盛り上がります。中盤も合いの手的要素あって、いつもアドレナリンが出まくって走り出してしまう曲です。そして何よりも魅力なのが、ボーカルの小池さんが「一丁前に笑い怒り怒り叫び踊り泣き合いたいというのに」という歌詞のところで、楽器が単音を刻んでいる速いリズムの上で、徐々に熱量を上げてがなる部分です。これはサビ前ですが、私の一番好きなところで、実際聴くとめちゃくちゃアツいですよ。

そしてtetoのライブの面白いところは、とにかくボーカルの小池さんがめちゃくちゃだということ。現在30歳手前で社会人経験のある小池さんは、楽器未経験だった職場の後輩の佐藤さんをベースに誘ったという、なかなか破天荒な経歴を持っています。今まで何度かライブに行ってきましたが、ライブハウスの天井の梁にぶら下がっていたり、ほとんど歌わずに暴れていたりして、演奏を放棄していたことが多々ありました。でもバラードや弾き語りになると人が変わったように切なく歌うし、めちゃくちゃアツいMCで語りかけてくれたりします。そうしてtetoのライブに行くと、彼らの音楽を浴びることで何か身体を解放することができ、重みのある小池さんの一言一言を噛み締めながら、帰りの電車で「明日も頑張ろう」と自分を鼓舞する、その数時間が一瞬にして非常に濃い体験になります。このことは、私にとって日常における栄養摂取のようなものです。もちろんtetoに限らず、他の愛するバンドにおいても言えることなので、この自粛生活中は深刻な栄養失調といったところですかね。

tetoというバンドの魅力は、そのパフォーマンス性だけに留まらず、ジャケットのデザインやグッズの完成度においても語られると私は思います。本当にセンスがいい。実は私がtetoを好きになったのも、知り合いがサブスクの画面を共有しているのを見て、「dystopia」というアルバムのジャケットの素敵さに惹かれたのがきっかけです。上の画像は、「手」というアルバムのジャケットです。イラストは、全てカドワキリキさんというイラストレーターの方がデザインされているのですが、本当に毎作素敵で、tetoの楽曲の世界観にとてもマッチしていると感じます。

「ロードショー」/ Age Factory

Age Factory(以下、エイジ)については、大学生になって聴き始めた知識の浅さゆえに多くは語れませんが、いま最も私の心を掴んで離さないバンドになりつつあります。初めてエイジを知ったのは、とあるロックフェスに、それも別のアーティスト目当てに行ったときのことです。時間に余裕があったので、ふらっとエイジのステージを見に行ったのに、気づけばノリも分からないまま真剣に見続けていました。ボーカルのエイスケさんはハスキーな声の持ち主ですが、シャウトするときの迫力がとんでもない。なので、もしエイジを聴こうと思って下さったときは、「HIGH WAY BEACH」を聴いた後に、「CLOSE EYE」を聴いてみてください。彼の歌声の色んな側面が見れて面白いです。

「ロードショー」は、ここ1年で一番聴いたんじゃないかと思えるほど、今思い入れが増しに増している曲です。まず、入りでもう感情が高ぶってしまう。聴いたらきっとわかります。そしてぐっとくるのが、「雨は止んだよ 映画でも見ようぜ」というサビ前のフレーズです。その何気ない、好きな人との会話がこの曲ではテーマになっていて、エイスケさんの優しい声が心地よく染みるのです。ラスサビ前の「じゃあさ、」という一言も、伴奏が消えて、より柔らかくリスナーに語り掛けているような体感になります。ここの部分も是非聴いてほしい!

そしてエイジをより好きになっている理由に、彼らの地元愛の強さがあります。エイスケさんはライブの演奏始めに、「どうも奈良Age Factoryです」と必ず言います。そう、奈良愛がとんでもない。メンバーはみな奈良出身で、そのことをすごく誇りにしていることが、彼らの発言や楽曲から感じられます。ちなみに「My end」という曲には、「生駒の山裾」なんてワードも登場するのです。彼らが奈良にインスピレーションを受けて、数々の詞を書いていること知ってからは、「この歌詞は奈良のあの場所を描いているのかも!」という風に、曲を聴く度に情景が広がる楽しさがあります。大学生になって奈良に通い、その中でエイジの存在を知った私にとっても、彼らのおかげで、より奈良が特別な場所に思えているのも事実です。ですから私の中には小さな決まりごとがあって、近鉄奈良の西口改札を出て階段を上り終え、地上に出るときに、エイジの「Seventeen」という曲を必ず流します。そうすると、奈良に着いたことをしっかり実感しながら、今日も頑張ろう、と清々しく歩き始められるのです。本当に、エイジは私の生活の一部です。

そして、すすめたい曲がありすぎてキリがないので、ここからは曲名とバンド名だけで紹介させていただきます。割愛しているとはいえ、本当にマストなものばかりなので、よかったら聴いてみて下さい。

「揺らぎ巡る君の中のそれ」/ 雨のパレード
「THE CHAIR」/ w.o.d.
「京都線」/ PK shampoo
「HEAVEN」/ SUP
「10号線」/ SIX LOUNGE
「金木犀の夜」/ きのこ帝国
「アキレスと亀」/ Hello Sleepwalkers(活動休止中)
「煙」/ Saucy Dog

私の文章で、少しでも邦楽ロックに興味を持っていただけたら幸いです!ではまた。

(5期生 さら)