【vol.58】恋愛リアリティーショーの魅力と問題性(あゆみ)

こんにちは。みなさんは最近若者の間で話題となっている恋愛リアリティーショー(通称「恋リア」)を見たことがありますか?恋リアとは、恋愛をテーマにしたバラエティー番組のことで、セリフや台本がない人間のリアルな恋愛模様を見ることができる番組です。

近年では、テレビだけでなくNetflixやAbemaTV、Amazon Prime Videoといったオンラインの動画配信サービスで数多くの恋リアが配信されています。恋愛リアリティーショーという名の通り、他人のリアルな恋愛模様が映し出されたものですが、それぞれ番組の形式や内容、ルール、出演者の世代など多種多様でオリジナリティ溢れるものが多く生み出されています。多くの視聴者や恋リアファンがいることから、様々なコンセプトの番組が乱立し、「恋愛リアリティーショー戦国時代」とまで言われているそうです。

恋リアは日本だけでなく、韓国やアメリカなど海外にも多くあります。その中でも今回、私は日本の恋リアに注目して、私自身の視点で、楽しみ方や特におすすめしたい番組をピックアップして紹介していきたいと思います。

まずは、興味が一切なく、何が面白いんだと思っている方にも見てみたくなると思ってもらえるような魅力ポイントをいくつかお話ししたいと思います。

1. 客観的に人間模様を見ることができる

他人であるにもかかわらず、なぜ自分事でない恋愛話に興味を持ってしまうのだろうかと不思議に思われるかもしれませんが、自分が恋愛している立場だと考えられないことも他人のものだと冷静に客観的に分析できたり、自分の恋愛にも活かすことができるかもしれません。また、リアルだからこそ良いことも悪いことも見ることができ、人間関係の勉強にもなると思います。

2. ドラマとリアルの間の新感覚な世界観にはまってしまう

出演者は芸能人ではないにしても美男美女が多く、現実社会にはなかなかいない人が出てくるため目の保養にもなります。そんな美男美女が恋をしてデートをしたり、終始胸キュンが続くことで恋に憧れる中高生世代はその世界感に惹かれるのでしょう。また、デートに行くような恋リアでは、SNSなどで話題になりそうなスポットを巡ることが多く、憧れの人が“映えスポット”で撮影されることで、より一層キラキラ見え、楽しめると思います。

3. 推しが女優・俳優より身近な存在である

先ほども言ったように、美男美女が多いことから「推し」の出演者を見つけてはファンになってしまいます。出演者たちはほとんどの人がSNSを日常的に使っていて、TwitterやInstagram上でファンとのやり取りを頻繁にしている人もいるんです。テレビの向こう側にいる人と視聴者側のちょうど間にいる身近な憧れの存在の人と自分とがやり取りできるということは、通常の女優・俳優にはない魅力だと思います。

4. 副音声&スタジオトークが面白い

芸人や喋り上手な芸能人が全てのシーンに共感するわけでなく、同世代とはちがう視点で見守り、時には突っ込みを入れ、笑いの要素も取り入れている様子が面白さを増していて、恋リアはMCありきで成り立つものであると私は考えます。

以上が、私がお伝えしたい魅力ポイントです!この他にも番組の主題歌が豪華アーティストであったり、リアルタイムでのコメントを見ながら誰かと共感しあって見るのも違った見え方がしたりと、本当に多くの魅力があります。これらはあくまでも私自身の視点の楽しみ方であるため、他にも人それぞれ見方が違うかもしれないと考えると、本当に色々な魅力があるなと思います。

次に、私がとくにおすすめしたい恋リア番組を3つほど紹介していきたいと思います。

1. オオカミくん/ちゃんには騙されない(AbemaTV)

この「オオカミくんには騙されない」や「オオカミちゃんには騙されない」などの人気シリーズであるオオカミシリーズは、2018年の「女子中高生が選ぶ一番好きな恋愛リアリティーショー」で1位に選ばれた人気番組です。
ルールは、恋をするために集まった男女が、デートや共同作業を通して恋愛をしていく様子を撮影した番組です。シリーズによって違うのですが、オオカミくんの場合で説明すると、男性メンバーの中に1人以上、嘘をつき、演技で恋をする”オオカミくん”が紛れ込んでいるというコンセプトです。そして、番組の放送期間中に視聴者投票があり、私たちが見極めたオオカミくんを自由に投票することができます。その結果で出演者が脱落し、毎度切ないのですが、視聴者が大きく影響を与えることができるのはこの番組の特徴です。
他の恋リアと違う魅力は、オオカミくんが誰なのかが最後までわからないということです。誰がオオカミくんか出演者も視聴者もわからないので、誰が嘘をついているのか、オオカミくんは誰なのかを推理するというゲーム性があり、オオカミシリーズを楽しむ方法の1つです。また、雑誌の人気モデルや「男子高生ミスターコン」出場者など、同世代の視聴者の憧れとなるような出演者を起用しており、そのような有名人の赤裸々な恋愛模様をリアルに見られることも魅力です。

2. 今日好きになりました。(AbemaTV)

この番組は、皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
“今日好き”ポーズや「みぎてやじるしひだりてはーと」といった7人のガールズユニットが結成されたりと、中高生から大人気の番組です。
ルールは、高校生が2泊3日の短期間で、グループ行動やフリータイムの中で気になる相手と距離を縮めていき恋をするという、シンプルかつ非常に見やすい構成になっています。何より短期間すぎることと、出演者が若いということもあり、積極的に気になる人にアピールをするので、展開が速く見ていて飽きません。高校生らしいピュアな子がいたり、恋の駆け引きが高校生とは思えないほど上手い子がいたりと出演者も個性が強い子が多く、様々な恋愛模様を楽しめると思います。私とそんなに歳は変わらないはずなのに、ませているなぁと時代の変化も感じることができて楽しいです。
そんな短期間で本当に好きな人ができるの?と思う人もいるかもしれません。私も実は最初はそう思っていたのですが、意外とみんな本気で恋をしていて、中には結婚をしたカップルまでいます。1ショットで気持ちを語るシーンが多いこともこの番組の特徴で、より出演者の感情が伝わりやすいものになっています。とにかく胸キュンシーンがいっぱいです。また、“今日好き”ではカップルとして成立できなかったメンバーはリベンジ制度があるので、一度見始めたら止まらないです。

3. フェチ恋(AbemaTV)

偏った恋愛観を持つ男女による偏愛リアリティーショーです。多くの人間がコンプレックスやこだわりを持っていると思うのですが、それらを受け入れて好きだと言ってくれる相手とつなぎ合わせてくれる、その人特有のフェチな恋愛模様を追った番組です。
過去に放送されたフェチの内容としては、ぽっちゃりな女性や登坂広臣が好きすぎて真似をしてなりきろうとしている男性たち、方言女子、薄毛男子といった様々な癖の強い出演者ぞろいで、自分がタイプだと思っている人間を探すのでなく、本当の自分のフェチ・タイプである理想の人と恋をするという、他の恋リアと違った面白さがある番組です。コンプレックスを愛してくれる人に出会えることは素敵なことであり、多様な考えや生き方が許容されるようになっている現代だからこそ成り立つ番組ではないかと思います。他の恋リアより胸キュンは少なく、バラエティー番組として面白いという感じなので胸キュンが苦手という方におすすめです!

以上がとくにおすすめしたい恋リア番組です。番組ごとに趣旨が違い、胸キュンだけでなく切なさやユニークさなどの要素もあり、様々な世代が楽しめるのが何といっても魅力だと思います。みなさん気になる番組は見つかりましたか?

今回紹介した番組以外にも恋リアはまだまだ魅力たっぷりの番組がたくさんあるので、ぜひ時間があるときに探してみてください。恋リア番組を見てキュンキュンしましょう!

そして最後に、先日の出来事でありますが、恋リア番組で人気を博していた「テラスハウス」に出演していた木村花さんの訃報に触れ、多くの人たちが誹謗中傷の書き込みに対する非難の声を上げています。私はこれから自身の研究の課題の1つとして、視聴者がどのような視点で恋リアを見ているのかについて調査したいと思っていました。以前から、一般人も含めた出演者たちの恋愛模様を赤裸々に描くというコンセプトの「恋愛リアリティーショー」には、出演者のデマ情報の流布やSNSでの執拗なアンチコメントなどが問題視されてきました。

私は一視聴者として、どうして友達でも知り合いでもない一人の人間に寄ってたかって攻撃し、誹謗中傷を繰り返すのかを疑問に思います。出演者の赤裸々リアルな恋愛は、視聴者側の恋と同じものであり、間違ってしまうことや失敗する(人間関係のもつれやうまくいかない)場面も多々あると思います。視聴者は出演者に完璧な行動を求めすぎて、同じ人間に変わりないのに、平気で悪口をコメントする風潮が起こっていることを私はおかしいと感じており、そのような人たちは恋リアを楽しむ、見る資格がないのではないかと感じてしまいます。

そしてこのテラスハウス事件がおきたことで「誹謗中傷」という言葉が注目され、インターネット上での誹謗中傷対策を検討するプロジェクトチームの発足やSNSでの匿名での中傷を規制する法改正の検討などがおこなわれるようになりました。

しかし、この痛ましい出来事を受けてもなお、「自分の意見は自由であり、何を言っても大丈夫である」と正当化して「何が問題なのかわからない」と主張する若者たちもいることや、誹謗中傷を書き込んでいた本人たちはアンチコメントを消すという卑劣な方法で逃げ、なにも罰則をされないことに本当に腹が立ちます。このような事件を目の当たりにしているにもかかわらず、正義ぶっているのか知らないが、対象を変え攻撃を繰り返す。このようなことは本当に許されないことであると思うばかりです。

人間は揉め事や炎上が大好きで、炎上している動画を見て、それをネタにするような人間が多いことが、より炎上を加速させてしまいます。また、炎上で視聴率が上がることもあることから、テラスハウスの中でも制作側が炎上を煽るような構成にしていたのではないかとも言われています。番組制作側は、ドラマとは違い、台本のないリアリティを主張していますが、視聴率を上げるため、番組が盛り上がるものを作ろうと、オンエアされる最終形態は編集によって本来の流れではない解釈ができるような構成になっている場合や、出演者のキャラ設定・演出指導が組み込まれている場合などがあるみたいですね。

SNSの使い方を間違った人間が多くいることで、このような残酷で悲惨な事件が起きてしまったこと、そのような形で人が亡くなるまで追いつめられてしまったことを本当に悲しく思います。恋リアの魅力だけでなく、このような問題性にも着目して、これから研究を進めていきたいと思います。

(5期生 あゆみ)